サイン・パターン・手法の形以外にも重要な情報がある

これまでチャートパターンや手法の話をしたが、学び始めたばかりの人や慣れていない人は”形をまず覚える”で精一杯だと思う。

一旦はそれでいいのだけれど形だけで覚えるだけだと

・解説されているチャートパターンと100%同じチャートは基本存在しないので応用が利かない

・前提として想定されている心理(シナリオ)を無視することになり形は一緒なのに機能しない場合を除外できない

・超強い個人トレーダーと戦う羽目になる場合がある(負けやすい)

・この先、学ぶ手法の真意がくみ取れない

などの課題を抱えることがある

これを解決するには結論として、

「そのサイン、パターン、手法はどんな相場心理が反映されていればいいのかを理解すればいい」

ということになる。今回はそれらの課題をクリアするための考え方を書いていこうと思う。

ちなみにこの記事はチャートパターンやサイン、手法の形のままでやって勝てるなら考えなくてもよい可能性がある。

しかし、手法を学んでも満足のいく結果や成績が出ていないならまた読んでみてほしい。

解説されているチャートパターンと同じチャートは基本存在しない

上昇ペナントのチャートパターンを例にとると、形だけで覚えると実際のチャート(下図左端:理想的なチャートパターン)を見たときに

「陽線3本の後に陰線が3本出て先がとがっていれば上昇ペナントのチャートパターンだ」みたいなことになってしまうのだ。

適当なものも集めると数はあるにはあるのだが。ペナント型かつ陽線3本陰線3本のチャート+好条件というのは条件が厳しすぎて年数回しかチャンスがなかったりするのだ。年数回しかチャンスがないと伸ばせるトータル利益もかなり少なくなってしまう。

要は形だけで覚えると、

<理想的なチャートパターン←グレーゾーンな見た目のチャートパターン→明らかに違うパターン>

の”グレーゾーンなチャートパターン(下図①~③)”が許容できるのか出来ないのかの判別ができないということになるのである。

思い出してほしい、「相場参加者の心理がチャートに現れているのがチャートパターン」なのだ。

上昇ペナントのチャートパターンが言いたいことは

・相場参加者がなぜか分からないが株を急に買い漁った(株価が急に上がる)

・そのまま上がりっぱなしでもいいし、急に上昇分下げてもいいのに株価がほぼ横ばいになっている

・この横ばいの理由が株価の変動がある以上、取引する人間が急に0人になったから起きたとは考えにくい

・上昇しっぱなしにならないのは下落に期待する勢力(売り)の壁があるから(上値抵抗線)と考えられる

・急上昇が止まっているのに急落しないのは上昇に期待する勢力(買い)の壁があるから(下値支持線)と考えられる

・上昇を期待する勢力と下降を期待する勢力のぶつかり合いの結果、力が均衡すれば勝ち負けの差が少なくなっていく(ローソク足の実体が短くなっていく)事が考えられる。

・その均衡が崩れたほう(勝ち負けが決まったと見えるほう)に株価は大きく動く傾向があり、上昇ペナント型の場合、上値抵抗線を超えたら大きく上昇する傾向があると分かっている

「これらのシナリオがチャートに現れるときはペナントっぽい形になり上昇しやすい傾向があるよ」と伝えたいのだ。

このシナリオにのっとってさえいれば形が教科書通りじゃなくてもチャートパターンは機能する確率が高い=「許容できる」のだ。

形だけで覚えるとここの前提条件にある心理を見落としてしまいずっと判断の自信がつかないのである。

形は一緒なのに機能しない場合もある

形で覚えるとチャートの中にある細かい相場心理(買い勢力/売り勢力の動向)を見逃すことがある。

例えば下図のようなことはないのか?

どちらも同じチャートパターンだが

ここを無視してやるのとやらないのとでトータルの結果に差が出る可能性がある。

仮に上右図の心理が正しければ売り圧力が強いため上値抵抗線を超えてもあまり上昇しないか、下にさがっていく傾向が出る可能性があるだろう。(※今回はあくまで説明用なので上図がどっちでも関係ない場合もある)

このように同じチャートパターンでもローソク足の状況によって上がりやすさ(相場参加者の買いやすさ)と下がりやすさ(相場参加者の売りやすさ)に差ができる可能性があるのだ。

形だけで覚えるとこう言うチャートを取引していいのかどうかの理論を組み立てられない。

期間の長さで上昇のしやすさに差がある場合がある

チャートパターンによって想定されている心理は満足しているがあまりに期間が長いとポジションを持っている参加者の上昇への期待感や新規参入する投資家が減り、「もう盛り上がっていかないな、、、手放そう」となって思ったように株価が上昇しないことがある。(下図)

こういう時は上昇したとしても相場が興味をなくしていたり、買い勢力の勢いが死んでいるのでリスクに対して値幅が取れなくなることがある。

つまり同じチャートパターンでも期間によって成功しやすい/しにくいがあるのだ。

形だけで覚えるとこういう成功しにくいチャートを選んで取引する可能性があるのだ。

高値圏で出るか安値圏で出るかで相場参加者の心理が変わる場合がある

パターンの出現場所が高値圏なのか安値圏なのかで差ができないのだろうか?(下図)

上昇率がまだ先があってもおかしくない状態だと「成長途中でチャートパターンが出現、安く買うチャンス」に見えて、

上昇率が異常な状態だと「天井付近でチャートパターンが出現、だが伸び悩み(天井)に見える、下落前の売るチャンス」に見えないだろうか?

このように株価位置(高値圏/安値圏)によってチャートパターンの機能しやすいしにくいがあるのだ。

形のみで覚えていると下落に巻き込まれそうなチャートでも取引してしまう可能性がある。

相場参加者の多さでパターンの成功しやすい/しにくいがある

チャートパターンや手法は「大衆がそのチャートを見ていること」を前提としていることが多い。

なぜ大衆(多くの相場参加者)が見ているといいのか、極端な話をすると

相場参加者が仮に一人だとして、その人に勝とうとするなら資金力と読み合いで勝たなければならない。

同じ相手と繰り返し戦えるなら再現性はそのうち身につくかもしれないが、残念ながら相手が同じかどうかを確認するすべはない。

参加者が大勢いるなら「大体この状況なら100人中80%ぐらいはこういう判断するだろう、、、」が使えるのである。

大衆心理=本能とするなら、本能は人によらずほぼ一定なので再現性がある(閃光を見たら目をつぶる、熱いものに触れたら手を引っ込める等)。

参加者が少ない銘柄を選ぶと

・個人の判断によってチャートパターンっぽく操作されたチャート

・たまたまチャートパターンに形が似ているだけで心理も何も働いていないチャート

を選んでしまう可能性があるのである。

形だけで覚えるとこの可能性に気づけなかったりする

では大衆が見ているかどうかをどうしたら判断できるのかというと一例だが

・多くの取引が行われている

・多くの資金が動いている

・投資家が注目している

のいずれかであれば大衆が見ている可能性が高いので

・多くの取引が行われている→出来高

・多くの資金が動いている→売買代金

・投資家が注目している→銘柄ランキング、テーマ銘柄の検索

を見ると合理的に判断できるだろう

出来高に関しては棒グラフの動きである程度は相場参加者の思惑がわかったりもする。

手法の理解は相場心理の理解

例えば次のような手法が本に載っていたとしよう。

実際他の場所、本、動画で紹介されている手法のレベルはこんなものである。

もっと言うと初心者だとちゃんと書いてあってもこれぐらいの情報量しか最初は受け取れない。

「図と同じ陽線が出たら終値で勝って利食い損切りを守ればいいんだな!」程度だろう

ただし、前から書いているが悲しいことに全く同じチャートは基本ないのである

①の条件に隠れている情報

①には「急落時の転換サインからの上昇を狙う」と書いてある。

図が書いてあったりすると形ばかりに意識が行ってしまってここを飛ばしてしまう。

よく考えてみてほしい。①には

・相場参加者(大衆が見ている)がいる前提

・”急落した”の具体的な説明

が抜けているのである

急落する→相場参加者が狂ったように売り注文している→チャートにどう反映されるかの説明がない

つまり、①の条件は

「相場参加者が狂ったように売り注文をしている状況が見て取れる銘柄を選定する必要性」を開示していないも同然なのである。

手法を形だけ学んでも銘柄を選べないのでは取引に進まないのである。

②の条件に隠れている情報

①でも転換サインに触れていたが②でも

②前日が陰線で当日中に株価が陰線の半分以上になっていたら終値で買い注文

と具体的っぽい雰囲気で書いている。

②でも隠れ情報がある

・この条件下で出る転換サインがなぜ転換サインになるのかの説明がない

転換サインというのは「相場参加者の注文が買いか売りどちらか一方向に集中するときに出るローソク足の組み合わせ」のことである。

極端な話、②の条件は「急落の継続が否定された(相場参加者の買い注文が優勢になった)のがチャート上で確認できたタイミングで買い注文を入れろ」ということを言っているのである。

その心理に合致したものは全て転換サインになるので選んでよいということになるのだ。

手法の図だけ見て早合点するとここの部分を見逃したり、真意をくみ取れていないことになるのだ。

③の条件に隠れた情報

③は決済の条件だが

③利食い+10%、損切り-3%とある

どうやら必ず守らなければいけないらしい。

では利食いにも損切にもならなかったら永遠に保有し続けるということになる。

ここでも

・なぜ利食い+10%なのか

・なぜ損切り-3%なのか

・どちらにもならなかった場合についての説明

ということが書いていないのである

利食いと損切りの数値についての話だがそもそも論、手法を開発した人間と同じ銘柄を選定しないと再現性が担保されないのでここの数値は補助輪設定だと考えたほうがいい。

まずは真似してやってみていいのだがこの損切りと利食いは要は

・相場参加者の売りより買いが多く入っているのがチャートでわかる間は保有しそうじゃなくなったら手放す。

・下がったとしてエントリー株価以上に上がる希望がないことがチャートからわかったら手を引く

ということをすればいいのであり(出来たら苦労はしないが)

少なからず手法製作者の選んだ銘柄での取引データ内では利食い+10%の範囲で上昇のピークが来やすかったり、-3%がもう建値に戻ってこない下落のボーダーラインだったりするということでしかないのだ。

この手法における自分の最適値や保有期間は”自分のデータを見直して発見する”でいいのである。

このように手法も心理を考えずに図に載っているの形だけで覚えてしまうと重要な情報を取りこぼしてしまったりするのだ

まとめ